前作が全世界的ヒットを記録し、注目を集めた中で発売されたラストオブアス2 。
とりあえず1周目をクリアしたので率直な感想を記事にしたいと思います。
ユーザーからの声が炎上している理由と思われる部分にも触れるために、少し作中の構成を書いています。未プレイの方はネタバレ注意です。
目次
動画で見たい場合はこちら
この記事とほぼ同内容の動画を投稿しているので、動画の方が良い場合はこちらを視聴して頂ければと思います。
音が出るので注意して下さい。全てテロップを入れているので無音でも見れます。
R-18表現やLGBT、人種に対する表現について
まずはじめに注意も兼ねて、このゲームは性的、グロ、ゴア表現全部盛りで量も多いので苦手な方は恐らくプレイ出来ません。
加えてLGBTや人種の多様性といった社会的課題に対する製作側の思想や主張が描写されているのですが、結構露骨なので直接的なメッセージは苦手という方は避けた方が良いです。
大手メディアではこの辺りはかなり繊細な問題で触れられづらいと思うのであえて触れておきます。
日本版は規制されているので無規制版よりはソフトな表現なんでしょうが、それでも耐性がないとしんどいと思います。
シナリオについて
続いて炎上の最たる理由であると思われるシナリオについて。
確かに暗い展開や胸糞が悪くなる時間が続いたりもしましたが、決して「ダメ」だと一言で片づけるほど酷いものではないというのが僕の見解です。
目を背けたくなるシナリオ
シナリオは重く、苦しく、暗く、虚しく、辛く、空虚で・・・
一言でまとめると後味が悪い鬱展開が延々と続きます。
しかし、これは復讐という行為の代償として描かれがちな展開であるとも思います。「復讐は新たな復讐以外は何も生まない。」ってやつですね。
個人的にはユーザーレビューの炎上は暗い展開を批判するものではないと思っています。
プレイするのが辛いほどの展開ですが、先が気になってしまい続ける手が止まらなくなるのもまた事実だからです。
じゃあ何が良くなかったかというとシナリオの見せ方が不味かったかなと思っています。
前作キャラクターの扱いが雑に感じる
続編の宿命なのかもしれませんが、前作のキャラクターたちが今作のシナリオを構成するための道具として雑に扱われているという印象を受けました。
ゲームってプレイする分キャラクターに対しての愛着が深くなりがちだと思うんですね。
これが例えば映画やドラマなら「観てる」状態なので、そこまで没入感は深くないと思うのですがゲームの場合自分も「参加している」ので結構違う。
だから前作では語られなかった側面を描写したり、舞台上から退場させる際は繊細な演出や脚本が必要だと思うんです。
愛情が深い分裏返したときの暗い感情も高ぶりやすいということを考慮すべきだったのではないかと思うわけです。
製作サイドにとっては些細なことだったのかもしれませんが、ユーザーレビューが荒れた1つのポイントではないかと思います。
復讐相手を操作するという不快感
プレイヤーはまずエリーを操作して復讐するターゲットであるアビーを追い詰めていきます。
そしてようやく決戦の時を迎えアビーに対する復讐心が最大限に高まったところから、アビー操作の過去編が始まるんですね。
しかもそこまでのエリーパートと同等、もしくはより長いくらいのボリュームがあるんです。
正直感情のやり場を失くしたり、混乱するのは自然な反応だと思いますね。僕も最初は早くエリーの物語の続きを見るためだけにアビー編を進めてましたから。
もちろん意図はわかるんですよ?アビーにも大切に思う人が居て、復讐すべき悪魔などではなくてエリーと同じ普通の人間であるとプレイヤーに認識させることが大きな目的なんでしょうが・・・
今までアビーへの復讐に燃えて、立ち塞がる敵を皆殺しにしてきたエリーとプレイヤーが、何の前触れもなくアビーの人間性の掘り下げを見せられても、感情移入が難しいと思うんですね。
「え?復讐は?何を見せられているんだろう?」って思ってしまうのは無理がないですし、物語に没入していればいるほど強く感じる違和感、不快感に繋がります。
ここの見せ方が不味かったことが低評価に繋がったのではないかと、個人的には感じています。
例えばですがエリーとアビーの両パートをもう少し並行的に進めていれば、アビーにも戦う理由や葛藤がちゃんとあることがわかりますから、復讐心に支配されているエリーの見方も変わってきますしアビーに対する不快感も薄らいでいたのではないのかと思います。
少なくとも僕にはエリー編とアビー編をきっちり長尺で区切った理由を見つけることは難しかったです。
ラストまでちゃんとやって良かった
プレイ途中はしんどい場面も多かったですが、ラストシーンは非常に良かったと思います。
本当の最後の最後に今まで蛇足と思われた演出や展開の数々も必要なものだったと自分の中に落とし込むことが出来ました。
納得がいかないと意見が分かれそうなラストではありますが、個人的にはエリーの成長とジョエルの愛情、2人の絆を強く感じることが出来ました。
ラストに関しては解釈の幅はあると思いますが、時間が経って感情が落ち着けばそこまで荒れないんじゃないかなと思います。フィクションなんですが人間のリアルを描いていますし、生きることの難しさや辛さを再確認させてくれました。
エリーは復讐心や抱えていた葛藤との戦いに打ち勝ち、終止符を自らの意思で打ったという風に僕は捉えましたし、そこに今作の全てが詰まっていると思います。
グラフィックは素晴らしいの一言
グラフィックは素晴らしいの一言です。「見ればわかる!ええやつやん!」て感じです。
最初にスゴいと思ったのは森や草ですね。
そこかよ?って思うかもしれませんが、まぁすごいです。リアルすぎて大量に茂っているのを見た時は、草刈りをしたくなるくらいでした。
夕陽や雨、空と海の表現も良いですね。荒廃した世界だからこそ自然の美しさが際立ちます。
当然人物の表情やモーションなど主要な部分も言うまでもなく終始高いクオリティで製作されています。
表情が細かく変化するので、どういう心境なのか?というのが想像しやすいです。まさにプレイする映画、ドラマという感じ。
先日PS5が発表されたことで、これだけの映像表現が可能なPS4がもうすぐ旧世代機になるというのはにわかには信じがたいです。
戦闘などゲーム性の部分について
シナリオ面は色々と意見が割れていますが、ステルスTPSとしての完成度は非常に高水準です。個人的には不満は全くありません。
緊張感と爽快感を上手く両立出来ていた
基本的には前作から正当進化したステルスTPSゲームです。ムービーから戦闘へシームレスに突入するので没入感は高かったです。
終末世界が舞台なので、資源が限られているのが大きな特徴です。あまり無駄撃ちは出来ない良い緊張感があります。
一見不自由に見えますが、ステルスキルで少しずつ数を減らしたり、敵対勢力同士を潰し合いさせたり、集団を火炎瓶で焼いたり、ちょっとした作戦や工夫が上手くいくと爽快感があります。
強敵相手に溜めまくった物資を惜しみなく投入しまくるのも、抑圧からの解放感で気持ち良かったですね。
死亡時のロードがこの手のフィールドが広めのゲームではかなり早いので、トライ&エラーに余計な苦痛が伴わないというのも良いポイントです。
かなり細かい項目まで設定が可能
個人的なことですが、僕は普段のカメラは上下左右反転でエイム時のみ上下左右普通という多分かなり珍しい設定がベストセッティングなのです。
大体のゲームでどこかは妥協するのですが、本作は全て細かく決められたのでストレスなくプレイできました。
結構反転がないことって多いんです。特に左右反転。
その他HUDの微調整や字幕の大きさ調整など、かなり細分化された設定が可能なので様々なプレイヤーへの配慮が伺えました。
難易度も幅広く用意されているので、難しすぎてクリア出来ないといったことはまず起こらないでしょう。
ゲームの部分は間違いなくPS4史に残る傑作であることは疑う余地はないと言えるでしょう。
まとめ
クリア直後に書いているのでまとまりのない文章になっていると思いますが、一応まとめます。
- シナリオは確かに万人受けするものではない
- 演出や脚本に雑さを感じる部分はある
- R-18表現が激しいので苦手な方は注意
- グラフィックとゲーム性はPS4史に残るレベルの傑作
こんなところですね。オススメか?って聞かれたら、人は選ぶね。と答えることは間違いないです。以上を踏まえて進められる人とそうでない人は以下の通り。
- 暗い展開も受け止めて消化できる
- キャラクターや物語を多角的に見ることが出来る
- ステルスTPSのゲームジャンルが好き
- R-18の表現に抵抗がある
- ハッピーエンド以外は苦手だ
- ゲームとはいえ殺人には抵抗がある
以上でクリア直後の感想・レビューを終えたいと思います。
今回は具体的なネタバレは可能な限り避けましたが、少し時間が経ってからネタバレ全開で具体的にここの場面はこう解釈したよって記事を書きたいです。